バイオ金属材料

摘要

金属の材料としての歴史は古く，今日の材料科学·工学の基礎は，金属材料の研究によって形作られた．そのため,金属材料では，新たな材料が開発された際に，強度や延性といった機械的性質と耐食性を調べることはバイオマテリアルにおいても踏襲され,これらに加えて安全性や生体適合性について確認する（図1）．これまでは金属材料研究において生体適合性や生体機能性が前面にでることはなかった．このような研究手順は，生体機能性の追求が優先されるセラミックスや高分子では必ずしも一般的ではない．近年,金属材料でも生体組織に対する適合性や生体機能性に関する研究が盛んになっているが，材料として重要な機械的性質や耐食性の研究は必ず平行して行われている。 ここでは，バイオマテリアルとしての金属材料の特徴と用途，バイオ分野での金属材料の新たな展開，新しいバイオ金属材料，金属の生体機能化について述べる．