石炭灰からのゼオライト合成

摘要

本稿では，石炭灰のゼオライト化について述べた．初めにアルカリ濃度と石炭灰組成の影響について調査した．処理条件や原料組わかこよって生成物は異なり,低アルカリ濃度で高Si／Al比の石炭灰からはゼオライトNa－Piが，南アルカリ濃度で低Si／Al比の石炭灰からはヒドロキシソーダライトが生成することがわかった．反応過程における液相申のSi，Al濃度の解析により，反応初期の液相中のSi/Al比が生成物を決定することが示唆された．石炭灰のゼオライト化機構について検討したところ。 ①石炭灰のアルカリ溶液への溶解，②中間体アルミノシリケート水和ゲルの形成，③ゼオライト結晶化，の3段階からなることが示唆された，固相の詳細な分析から，反応初期に中間体として非晶質アルミノシリケートゲルが生成し，溶解·再析出を経てゼオライト化が進行すると示された．石炭灰のゼオライト化をリサイクル事業として発展させるには，ゼオライト化機構を基に，適切な組成制御を行う必要がある．原料組成と生成物の関係から仁液相組成の制御により，特定のゼオライトを効率よく合成できることが示唆された.また，反応初期に中間体として非晶質アルミノシリケートゲルが生成し，ゼオライト化することがわかった．これらのことは，反応初期の液相組成が中間体アルミノシリケートゲルの組成と，その結晶化によって生成するゼオライト種を決定することを示唆している．つまり，反応初期における液相中のSi／Ai比を制御することにより，石炭灰から特定のゼオライトを高効率に合成できると考えられる．