薬剤の特性や剤形を考慮した向精神薬の使い分け

摘要

近年の急速な脳科学の発展に伴って，新たな向精神薬 が登場し，各種精神科疾患に対する新しい治療方針が生 まれてきた。サイコオンコロジ一の分野でも，精神科疾 患の治療への新規向精神薬使用力s検討され始めている。がんに合併しやすい精神科疾患として，抑うつ状態， 不眠，せん妄があるが，その発現率や発現時の服薬困難 な状況を鑑みて，抑うつ状態や不眠については簡単に触 れ，せん妄に対する向精神薬，特に抗精神病薬による薬 物治療を解説する。進行がん患者，特に末期では身体状態が悪化している 場合が考えられ，向精神薬による薬物治療を実施するた めには身体状態，特に嚥下障害（認知機能や脳幹部の障 害，薬剤性などに由来)，肝機能を考慮して投与経路?剤形を選択する必要がある。