いま考える，災害医療のあり方

摘要

災害の定義はさまざまあるが， 「あらゆる分野において需要と供給の不均衡が生じ，社会が混乱する」というのが共通する概念である。災害を引き起こす原因は地震，津波，洪水，火山爆発などの自然現象，人為的なさまざまな事故，そして紛争や戦争に起因するものがある。医療の分野ではインフラストラクチャ一の崩壊や急激な患者数の増加により，医療を提供するために必要な人員や物資，設備を十分に確保できなくなる。このような状況で，われわれはいかに災害による死亡を防ぐのかを考慮し，具体的に対応しなければならない。災害医療の第一の目標は災害による死亡の防止である。