高齢者の股関節骨折手術において術前NT-proBNP値は周術期心合併症を予測する

摘要

高齢者の股関節骨折手術において，急性心不全 の指標となる術前ヒト脳性ナトリゥム利尿べプチド前駆体N端フラグメント(NT-proBNP)値と周 術期心合併症の発生頻度の関係に:ついて後ろ向き に検討した。2010年4月から2011年3月までの 1年間に，股関節骨折手術を施行した75歳以上の 患者137名を対象とし，NT-proBNP値300pg· ml~-1以下の低リスク群，300-1,800 pg·ml~-1の中 リスク群，1，800pg·ml~-1以上の高リスク群に分 類した。術中の昇圧薬の使用は，低リスク群，中 リスク群に比較して高リスク群で有意に高率であ り，術後の低血圧や心不全は，高リスク群でのみ 発症した。高齢者の股関節骨折手術において，術 前NT-proBNP値1,800pg·ml~-1以上は周術期心 合併症の危険因子である。