高フィデリティ量子テレポーテーション

摘要

量子テレポーテーションは1993年のBennettらの提案に始まる。Bennettらの提案では離散的な量子状態（スピンや偏光など）を対象としていたが、その後連続量量子状態（光の場など）に理論が拡張された。また、量子情報処理への量子テレポーテーションの応用も盛んに研究され、量子テレポーテーションが量子状態を遠隔地に正確に伝送するための量子ネットワークや、量子計算機を構成する基本要素として使えることが示されている。さらに、量子状態を操作するという観点から見ると、量子テレポーテーションにはほとんどの基本的な量子操作が含まれ、量子テレポーテーションの研究は量子状態の操作法を確立していくことでもある。これまで、量子テレポーテーションの実験は、離散量·連続量を問わず様々な物理系で実現されている。まず光による実験が行われ、それに続いて近年では原子間での量子テレポーテーション、光と原子の間での量子テレポーテーションなどが実現されている。特に光を用いた実験では、単一光子の偏光を用いた離散量量子テレポーテーション、光の直交位相振幅を用いた連続量の量子テレポーテーションが実現されている。本講演では、光を用いた連続量の量子テレポーテーション実験について述べる。特に量子テレポーテーションの高フィデリティ化や、応用実験について説明する。