東日本大震災JR東日本における被災と復旧·復興と今後

摘要

東日本大震災はJR東日本の鉄道施設にも甚大な被害をもたらした．本稿では，被害の概況や復旧プロセス，今後の課題について報告する．当社は，阪神淡路大震災後，高架橋柱等の耐震補強などの対策を進めてきた．しかし，東日本大震災では，東北新幹線で最大107.7カインに及ぶなど，東北地方から関東地方にかけて広い範囲で大きな揺れを観測した．本震では，東北新幹線で電化柱の折損など，延べ約1,200箇所で被害が発生したが，高架橋の倒壊などの致命的な被害は発生しなかった．また4月7日の余震の被害は，震源に近い古川付近の被害状況は本震よりも大きいものがあった．復旧作業を進めた結果，東北新幹線では4月29日に全線で運転再開をした．しかし，被害の大きい区間では軌道整備と架線張替を続けており，9月23日に徐行運転解消を行う予定である．今回の大震災を通じて，当社の進めてきた大規模地震対策は効果があったと考えているが，今後さらに被害状況を検証·分析した上で有効な耐震補強·地震対策を検討し，さらに地震に強い鉄道を目指した取組みを推進していきたいと考えている．