上田ブレーキにおける合成（増粘着）制輪子の改良－車輪踏面に対する合成制輪子の一役割

摘要

鉄道車両での粘着ブレーキを代表するものに，動力ブレーキと踏面·ディスクのような摩擦ブレーキがある．近年の動力ブレーキは制御技術の発達に伴い，信頼性，確実性，経済性等の分野でめざましい進歩があるが，摩擦ブレーキは鉄道車両ブレーキシステムの基本となる事は変わっておらず，摩擦という基礎技術において摩擦制御は結果の積み上げから，理論を組み立てる部分があり急な進歩という点で難しい面がある．在来線鉄道車両でのブレーキ摩擦材は，基本的に走行部品である車輪（踏面）に直接押し当て，ブレーキカを確保する摩擦材，すなわち制輪子には求められる性能として，基本となるブレーキカ以外に摩擦相手材が車輪（踏面）であるが故，車輪·レール間の粘着問題があり，この車輪踏面という相手材への攻撃を如何に抑制しつつ（特に車輪踏面への熱負荷による攻撃性抑制）制御技術向上に伴った有効かつ安定したブレーキカを確保することが求められるようになっている．弊社は特殊鋳鉄制輪子をはじめ，鉄道車両用制輪子，増粘着研摩子等の製造専門メーカーであるが，ここでは制輪子（摩擦材）の一形態である合成（増粘着）制輪子の取り組み，研究の一部を本稿に供する．