石炭中のホウ素分析

摘要

通常，石炭といえば瀝青炭を示すことが多いため，ここで述べる「石炭」は瀝青炭のことをいう。 石炭の炭素分は75～80％であり，主な用途は燃料であるが，コークスの原料としても重要である。 石炭には，約20～500mg/kgのホウ素が含まれている。 石炭中のホウ素は産出場所によって異なるが，一般的に古生代の石炭は少なく，新生代の石炭は多い傾向を示している。 一方，石炭燃焼後の石炭灰に早ま150～2000mg/kg程度のホウ素が残存している。 石炭灰中のホウ素は溶解性が高いため降雨水等で溶出される可能性が高く，石炭灰を産業廃棄物として埋立処分した場合は地中に浸透して土壌汚染や地下水汚染の原因になる。 また，平地に放置した場合は河川等の公共用水域に流入することが考えられる。これらの状況を踏まえ，石炭中のホウ素を事前に調べることにより石炭灰から溶出するホウ素が公共用水域へ流入することや，土壌·地下水の汚染原因になることを未然に防止することが可能である。