環境分析に用いる純水·超純水の基礎

摘要

実験とは，「現象から推測される仮説をもとに検証を行う作業」であり，仮説が真理であることを証明するには，実験結果の再現性を得ることが重要となる。再現性を得るには優れた実験手法も然る事ながら，扱う試薬の純度や分析機器の取扱い等も影響する。試薬調製やブランク水などとして実験で使われる“水”の純度も例外ではなく，水中の不純物が測定に影響する場合には，それらを除いた水を用いなければならない。さらに，結果の再現性を得るには，水質が常に一定である必要がある。環境分析に一般的に用いられている水は純水または超純水である。しかし，これらは多用されているにもかかわらず，どのように不純物が取り除かれて純水·超純水が精製されるのか？精製方法が異なっても出来上がった水の水質は一緒なのか？分析に用いる水として何が重要であるか？目的に応じた精製方法は何か？など十分に理解して用いられていないのが現状である。そこで，環境分析に用いる純水·超純水などの精製方法と水質の違いおよび超純水利用のポイントについて述べる。