最新の成形加工技術：防水シール成形技術

摘要

近年，自動車部品の分野では，製品の小型多機能化，一体化に伴いコイルやターミナル等のインサート成形が増加している．安全に走行するためのABS (Antilock Braking System)化や燃費法規制に伴うエンジン制御のDLI (Distributor Less Ignition) 化の進展により，システムを構成するセンサーの生産台数は増加し続けている．また，それらセンサーの搭載位置は，図1に示すようにABS用スピードセンサーは車輪部に，エンジン制御に必要なクランク角センサーやカム角センサーはエンジン本体部に取り付けられており，その使用温度領域は極寒冷地の低温放置から砂漠走行中のエンジンルーム内温度と幅広く，さらに雨水や凍結防止材である塩化カルシウム等の塩水が被水するという大変厳しい環境下にある．このため，これらインサート成形品に内蔵する集積回路や巻線コイルを保護するには確実に防水処理する必要があり，従来ではOリング等の部品を使った組立てやポッティング材注入固化などによりコストをかけて防水性を確保していた．