北米大陸におけるアジア由来の侵略的木本外来種、 ナンキンハゼの現状

摘要

ナンキンハゼ(Triadicasebifera (L) Small)は中国中南部原産の落葉高木で，ァメリ力東南部の湿地林-低地林で分布域拡大が著しい。本種の導入は1900年代初期に始まり，蝌ゃ脂質の生産や用材としての利用を目 的として行われた。ァメリ力東南部低地域は18世紀後半からの人為的な環境改変や経済活動の影響を受けて， 森林面積の減少や劣化が顕著である。近年のナンキンハゼを中心とした外来種の分布拡大が，土壌改変や在来植 物の生育阻害をもたらし，在来生態系と景観の保全を妨げる要因になるとして管理の対象となっている。ナンキ ンハゼは生育適地が幅広ぐ高い繁殖力と旺盛な成長により単一群落を形成する。除草剤や，伐採による管理が 困難なことから，侵入初期に駆除することが重要とされる。主要な分布制限要因は低温とされるカ气将来的な気 候変動の，を受けて，ナンキンハゼの分布域力拡大すること力危惧されている。本総説では，アメリカ東南部 で行われている外来種管理について，ナンキンハゼの生育#ttの概説と併せて紹介する。また，東南部低地林に おけるナンキンハゼの分布域拡大に寄与する生態的#14や，低湿地特有の環境要因とナンキンハゼのストレス耐 性特性について，センダンとの比較を通じて紹介する。