シングルキャリア／マルチキャリアハイブリッド通信方式の検討：セル間干渉を考慮したスループット特性評価

摘要

我々は，高速通信可能なマルチキャリア（MC）伝送とピーク電力対平均電力比（PAPR: Peak-to-Average Power Ratio）が小さく，広いカバレッジを確保できるシングルキャリア（SC）伝送を共存させるSC/MCハイブリッド通信方式の検討を行っている．これまで，SC/MCハイブリッド通信方式が基地局近傍での高スループットとカバレッジの拡大を両立することができることを示してきた．本稿では，SC/MCハイブリッド通信方式のマルチセル環境下におけるアップリンクのスループット特性の評価を行う．マルチセル環境下において同一周波数を用いているセル間の干渉の影響を評価する．同一周波数干渉が存在する場合においても，SC/MCハイブリッド通信方式がSC·MC単体を用いる伝送方式と比較して近距離で高スループット，遠距離でのカバレッジを拡大できることを示す．スループットの累積分布の評価を行い，MC伝送と比較して10％スループットを，SC伝送と比較して90％スループットを大きく向上できることを示した．