肝臓の初期発生と血管内皮細胞

摘要

代謝機能の担い手である肝細胞の起源をたどると心臓原基に近接する前腸内胚葉上皮細胞に至る。 肝細胞への初期分化をとげたばかりの内胚葉上皮（肝芽細胞）には血管内皮前駆細胞が近接し，その後の肝臓形成は肝芽細胞と血管内皮前駆細胞との相互作用に依存することが明らかになった。 血管内皮細胞は酸素や栄養素供給といった血管系本来の機能を介して器官の成長や再生，腫瘍組織における癌の成長を支える一方，血管内皮細胞は血管系本来の機能とは別に，肝臓をはじめ臓器の初期発生や形態形成を支える新しい生理機能を果たしている。