伝搬経路制御方式に基く異なる伝搬環境下での干渉抑圧特性に関する検討

摘要

本報告では，無線通信システムにおける隣接セル及びセクタへの干渉抑圧方式として，端末局にアダプティブアレイアンテナを用いた伝搬経路制御方式について述べる．われわれは，限られた自由度を有効に利用し干渉を効果的に抑圧するために，MMSE基準を用いてアンテナウエイトを収束させる際に，Deep Null Creation Technique（DNCT）及びWide Null（WNCT）を提案し，1セル環境において他セクタへの干渉を抑圧する上での有効性について確認してきた．本報告では，これまでの検討を拡張し，無線LANシステムを想定した3セル環境において，端末での到来角度広がりが異なる伝搬環境において提案方式の有効性を検討した．その結果，提案方式は端末での到来角度広がりが様々に異なる環境においても有効であり，ターゲットセクタにおける搬送波対干渉及び雑音電力比（CINR）を大きく向上させることを確認した．