フレキシブル導体シールドを実装した差動伝送用フラットケーブルの伝送特性とシールド特性

摘要

本稿では，SIを保ちつつEMIを抑制可能で，フレキシブルな電磁シールドを開発するための基礎検討として，実用時に問題になると想定される差動線路間隔よりも近い位置にシールドを実装した際のSIとEMI抑制効果について実験と電磁界解析により検討した．導体シールドを用いる場合に表皮厚さよりも十分厚いものを用いることは周知の事実であるが，差動線路間隔よりも近い位置にシールドを実装した際のSIとEMI抑制効果を検討した結果，5.5μm厚程度の良導体であれば，Z_(DM)の低下はあるもののシールドを実装しない場合と同程度の信号伝送が可能であり，またフレキシブル性を保ちつつ共振周波数以外で近傍界において十分なEMI抑制効果をもつことを示した．一方，軽量化やフレキシブル性を第一にして極端に薄い導体（今回の例では0.1μm厚）を実装した場合には，近傍磁界の抑制効果が不十分なだけでなく，線路の伝送特性も劣化することも明らかになった．