分類学に基づいた動物学一海綿動物を例に， '海綿動物門第4の綱：同骨海綿綱”

摘要

海綿動物は最も祖先的な多細胞動物と言ゎれてお り，古くより細胞学，発生学等の形態学的研究が行 われてきた.2010年には全ゲノムの解読が終了し (Srivastava et al? 2010),これからは進化発生学的側 面からの研究も加速していくことが予想される.ま た，海綿動物からは抗ガン剤などに応用できうる生 理活性物質が多く見つかっており,，薬学や生化学の 分野においても長らく注目を集めてきた.このような生理活性物質は，海綿の共生微生物が産するとさ れており，共生微生物のメタゲノム解析等も盛んに 行われ始めている.幅広い分野から注目されている 海綿動物ではあるが，これらの研究を遂行する上で 基本となってきたのが海綿動物自体の分類学であ る.また，分類学は動物学の他分野の研究結果を吸 収することでも発展してきており，分類学とその他 の分野は密接に関連し，それぞれに成果を還元させ てきたと言えよう.本稿では，このような関係の例 として昨年提唱された海綿動物門第4の綱，同骨海 綿綱（Homosc丨ermorpha)を紹介したい.