セレンディピティー的研究

摘要

小柴先生のニュートリノの発見，田中氏によるたんぱく分子の質量分析手法の発見，白川先生の導電性ポリマーの発見，野依先生の不斉触媒合成の発見，これらノーベル賞に輝く研究の特徴は，実験研究とセレンディピティーであろう．わが国のノーベル賞受賞は理論研究が先行していたので，実験屋には大変な励みである．同時に，セレンディピティー的研究の重要性を再認識する必要があるだろう．筆者のカーボンナノチューブの発見もセレンディピティーの典型であるので，その発見に至る背景を紹介し，セレンディピティー的研究を考える材料としたい．