メディ工一夕一複合体の転写伸長における役割

摘要

生命活動にとって重要な多くの遺伝子はRNAポリメラーゼⅡ（以下PolⅡ）によってmRNAに転写される．PolⅡによる遺伝子の転写発現制御は．転写の開始，伸長，そして終結の主に3つのプロセスからなる．とりわけ，転写開始までの過程ではプロモーターにリクルートされるPolⅡの量が決定され．それが遺伝子発現の強を決めるため．転写開始までの過程が最も重要なプロセスと考えられてきた．ところが，近年のゲノムワイド解析により．ハエやヒトの非常に多くの遺伝子（約30％）において．転写開始後にPolⅡがプロモーター近位（転写開始点から20～40塩基下流）で一時停止（(Pausing：ポージング）していることが明らかになり，遺伝子発現が転写開始と伸長の2段階で級密に制御されていることがわかってきた~（1））．この現象は当初，癌原遺伝子必要であることがわかった（112A).これらの遺伝子では． Polnがプロモーター近位でポージングしていることが知られており，これらの遺伝子のプロモーター領域にメディエーターがMed26 0) NTDを介してSECをリクルートすることで，Pol Ⅱの転写伸長を手助け（ポージング解除）している可lip性が考えられた． クロマチン免疫沈降法による実験を行ったところ．Med26のノックダウンにより． c-MyCのプロモーター領域におけるSECブユニットの存在率が減少した（図2B).また． 試験管内においても，メディエーターはMed26のNTD依存性にSECのサプ複合体をプロモーターへリクルートした． これらの結果から，メディエーターはMed26(7)NTDを介しSECをプロモーター領域へリクルートすることがわかった（図2 C) 9).