注水試験に伴うひずみ変化から推定される野島断層近傍の破砕帯の透水性

摘要

§1．はじめに地震が繰り返し発生する断層では，地靂発生時に形成された破砕が時間経過とともに固着してゆき，次の地震の準備段階として，ひずみが蓄積されていく．淡路島北西部に位置する野島断層はそのような地震断層のひとつであり，断層ガウジの年代測定によって，完新世に繰り返し大地震を引き起こしたことが知られている（帆1996）．野島断層は，1995年兵醇県南部地震（止す7．3）において1mを超える断層変位を引き起こした直後であり（Horil（aWaeJれ199軌　 現在，固着過程の初期段帽にあると考えられる．同一の断層で他宗が繰り返し発生するメカニズムを明らかにするには．破砕の固着過程を調べることが重要となる．淡路島北西部の深さ500m800mおよび1800mの3本のポアホールは兵席県南部地震の約．1年後に掘削され，断層の地球物理学的および地質学的な特徴を調べることを目的として，さまざまな連続観測やコア?サンプルの調査が行なわれている（Ando，2001）．その一環として，断層の固着状況を明らかにするために，1800m孔を用いた注水試験が1997年および2000年に実施された（西上2001）．応力場によって破砕が閉じ　 断層の固着が進行すると岩盤の透7k性が低下する．そこで，注水試験では透水性の時間変化が調べられた，－一般に，署盤の透水性は，コア?サンプルを用いた室内実験（例えば，Morrow and Byerlee，1988）や，ポアホールを用いた注水試験（例えば，BrainandMark，1988）によって調べられる．しかし，激しく破砕された岩盤のコア?サンプルは採取しにくいことから，破砕帯に位置する岩盤の透水性を禍ペるには，ボアホールによる注水試験の方が適している．