フィツション·トラック法から推定される柳ヶ瀬断層北部周辺の前期中新世における火成活動と断層活動への制約

摘要

柳ケ瀬断層（Figl）は滋賀県から福井県にかけて分布する南北ないし北北西-南南東方向に延びる全長37kmで東側隆起成分をもつ左横ずれ括断層である（杉札1963；東郷ほか，1991，吉岡ほか，1998）．同断層は，Huzita（1962）の近畿トライアングルの一部をなし，また，Kanaori（1990）の中部地方における「入れ子断層系による地塊回転モデル」での地塊回転地域の西端を構成する断層である．同断層はジュラ紀付加コンプレックスからなる丹波帯と美濃帯の境界付近に位置し，さらに地層が北に凸を描いて会合する大屈曲構造のヒンジ（摺曲軸）の山部を利用して形成され活動しているとされている（狩野，2002a；Fig．2）．