光の都市計画／臨海副都心，汐留，そして六本木ヒルズ

摘要

当初，学会から私に与えられた仮題は「東京の新しい街あかりの創造」ということでしたが，「新しい」という言葉が潜在的に好きでないので，「光の都市計画」というタイトルを勝手につけさせていただきました．ご容赦ください．新しいという言葉を使うときに危険を感じることがあります．まず一般的に新しいことは良いことだ，という理解があるので，訳もなく新日本プロレスだ，新技術…だとか言って人の気を引き，稀薄な内容をごまかす傾向が私たちにはあります．時間が流れ日々移り変わるわけですので，何かやるときには新しいことは当たり前です．新しいことばすぐ古くなることを示唆しています．ですから照明デザインや技術の発展にとって「新しいものは何か」という切り口を必要以上に強調する必要はないのです．新しいものに価値があるのではなく，価値観の変化が強要される現代は「古いものや本質的なもの」にこそ着目し，議論する必要があります．ですから，本稿は照明デザイナーとして体験した東京に関わる3種類のプロジェクトを通して，街あかりを仕掛ける側の悩みや難しさについてレポートしたいと思います．