国際標準化（ISO規格化）への道程－高速引張試験方法ISO規格化

摘要

自動車の衝突安全性の向上と地球温暖化対策としての燃費向上を目的に車体の軽量化を目指し，自動車用の高強度鋼板の開発が行われてきた．一方で，コンピュータの進歩を活用し衝突解析のコンピュータシミュレーションなどを生かした車体設計を行うようになったが，開発された高強度鋼板の性能を生かし信頼性の高い車体設計を行うには，衝突による高速変形時（高ひずみ速度）の材料特性を正確に把握することが必要であり，その試験方法の確立が求められていた．2005年に日本からISOの分科委員会（ISO/TC164/SC1）に高速引張試験方法の規格化の提案を行い，2010年2月にISO 26203-1および2011年10月にISO 26203-2の2規格が発行された．筆者らが行ってきた，高速引張試験方法のISO規格化の審議の過程を紹介し，今後，ISO規格化を進める際の参考にしていただきたい．