外径絞りを伴う曲げ加工における薄肉鋼管の変形機構

摘要

既報では，490MPa級，肉厚外径比t/D=5.0％の比較的厚肉の鋼管を対象に，FEMシミュレーションによって，曲げ内側の変形挙動を検討した．PRB法では，曲げ内側において，素管の降伏時点付近で，周方向圧縮応力の緩和が外径絞りの効果として見られる．その結果，回転引き曲げ法のマンドレルおよびワイパーありの場合と，近い応力状態を達成し，しわの発生が抑制されていると考えられた．本論文では，前報に続いて肉厚外径比t/D=3.7％の780MPa級薄肉鋼管を対象とし，FEMシミュレーションにより，PRB法の変形機構を検討した．曲げ内側だけでなく，曲げ外側の変形やせん断変形の周方向分布についても，従来の回転引き曲げ法の変形機構の検討とあわせて，両者を比較した．その結果を，以下に報告する．