螺旋型システムズアプローチの提唱－大規模·複雑な社会的課題解決に向けて

摘要

「システム」という用語が日常的に使われている一方で，大規模かつ複雑な社会的課題解決のために，システム科学の成果やシステム工学の技法や技術が十分に活用されていないのではないか，という素朴な疑問をもとに，システム科学やシステム工学の今日的意義を問い直すことを目的として，当学会システム·情報部門において，「安心·安全·快適社会実現のための新たなシステムズアプローチ調査研究会」が，2014年1月に立ち上った．社会的課題解決のためのシステム方法論の再構築のための議論が，この調査研究会において深まるなか，国レベルにおいても「第5期科学技術基本計画」が検討され，その内容が2016年1月に閣議決定され，「超スマート社会」の実現に向けたさまざまなシステムの構築に向けた提案がなされるに至った．このような状況を受けて，システム科学·工学の流れを展望したうえで，新たな社会システム構築に向けて，システム技法やシステム技術をどのように展開していくべきかについて，上記調査研究会での議論を踏まえて展望してみることにする．