延伸制御圧延機による平角線のサイズフリー圧延－延伸制御圧延の研究III

摘要

著者らは，スタンド間力を利用した新しいサイズフリー圧延法である延伸制御圧延法を提案しており，スタンド間力を積極的に変化させることにより，広範囲で任意の幅の平線が造り分けられることを報告した．また角線の成形では平ロールを用い，圧延機をH-V配列（グルーブレス方式）とすれば，ロールギャップとスタンド間力の調整により，辺長さとコーナーの曲率が任意の組み合わせの角線の成形が可能であることを報告した．すなわち，この方法によれば，ロール交換を行うことなく，平線や角線のサイズフリー圧延が数スタンドの小型連続圧延機で可能である．本報では，横断面形状が長方形である平角線の成形を試みた．平角線は，ばねやゲージなどの素材として使用されており，幅と厚さの寸法に加えてコーナーの曲率に対しても要求がある．特にコーナーがシャープな平角線の需要は高く，圧延加工はその点で一般に引抜き加工に対して有利であると考えられるが，研究報告は少ない．またスタンド間圧縮力の付加はさらに有利であると考えられる．そこで本研究ではアルミニウムと銅の丸線から平角線への延伸制御圧延を行い，圧延特性とサイズフリー可能な寸法範囲（製品の幅とコーナー曲率）を調査した．