胆汁酸塩のミセル形成とミセルへの可溶化（コレステロール及びホスファチジルコリン）－その2

摘要

胆汁酸塩，リン脂質及びコレステロールは，胆嚢胆汁や肝臓胆汁におけ3大成分である。 これらの3成分の濃度や組成比は個人により異なるが，あらゆる世代の17人のコレステロール系胆石保有患者の胆嚢胆汁中の平均濃度は，胆汁酸塩141mM（71.4﹪），リン脂質36.3mM（19.5﹪），コレステロール16.3mM（9.1﹪）と報告されている1）。 胆石の主成分である難水溶性物質のコレステロールは，生体内において両親媒性物質である胆汁酸塩とリン脂質が形成する混合ミセルやベシクルに可溶化又は乳化されて諸器官に運ばれる。 このコレステロールの可溶化剤及び運搬体として機能する胆汁酸塩とリン脂質が形成する分子集合体は，両者の組成比や濃度により，その構造や大きさが劇的に変化することは非常に興味深い事実である。 コレステロール胆石の形成は，コレステロールを含んだベシクル同士の相互作用や融合に起因するという研究例もあり，一方ではベシクル形成が見られない系における胆石形成の報告例もあり，硯在においても胆石発生のメカニズムについての結論は出ていない。 しかし，これまでの多くの研究によって胆汁酸塩の機能は次第に明らかになり，現在では医薬品における乳化·可溶化剤として店頭の製品ラベルに表示されるまでになっている。