熱電金属間化合物－ナノスケール欠陥制御と特性改善

摘要

原子空孔規則相ともいえるReSi_（1.75）のReを周期律表で異なった族に属する元素で置換することによって空孔の濃度と配列を人為的に変化させることができた．空孔濃度の変化についてはほぼ全価電子数を一定に保つというルールで説明することができる．配列の変化についてもシアー構造をとる場合とアダプティブ構造をとる場合はあるもののその変化は予想できるものであった．このように簡単なルールで原子空孔配列というナノ構造を予想できることは特筆すべきことである．一方，熱電材料としてみた場合に重要である熱電特性について，アダプティブ構造となるMo置換材で向上したが，同様の構造をとるW置換材では性能が低下した．このように明確なナノスケール構造変化に基づいたルールを示すことはできていないが，これらについても近い将来解明されるものと期待している．