疾患の診断と治療に用いる放射性金属化合物

摘要

~(99m)Tcをはじめ，金属放射性核種を用いる核医学診断薬，内用治療薬の開発·進歩は，臨床での画像診断，治療の進歩をもたらしてきたが，これらの領域の更なる発展のために，新しい金属放射性医薬品の開発が期待されている．そのため，金属放射性医薬品には，金属元素の特徴を充分にいかして，対象とする生体内分子と特異的に相互作用できる化合物となること，また目的部位に選択的に分布する化合物となることが要求される．そのため，生理活性を有し，かつ体内動態を制御できるドラッグデザインが必要であり，その概念の構築と具体的な化合物の開発が積極的に進められている．この成果は，金属放射性医薬品が医学の特殊な嶺域で用いられる医薬品というだけでなく，金属含有医薬品のひとつとして認識されるとともに，さらに，これらの金属放射性医薬品の開発を通して，金属錯体の構造一括性一体内動態の相関に多くの情報が蓄積されそれが新しい金属含有医薬品の開発に活かされていくことが期待される．