「金属」と長崎誠三

摘要

「金属」に長崎誠三（表1参照）の名が初めて載ったのは，1957年（昭和32年）1月の「真空冶金」特集号である。 当時，東北大金研にいた長崎は，真空高周波炉を使って種々の金属を熔解した体験を実験ノート風の"真空冶金は特効薬か"にまとめている．敗戦から10年余を経て金属学の世界にも新しい潮流が生まれつつあった時代で，この年には「真空冶金研究会」が発足している．また，2年前1955年には「金属物理」（「固体物理」の前身）が創刊され，長崎もその編集委員に加わっている．1957年から2000年までの間に，長崎が「金属」に載せた論文む解説などは130編以上にのぼる．図1には各年の掲載編数を示したが，年ごとの変化は「金属」との関係の粗密に比例しているようである．以下，この図に沿って長崎の足跡を辿りたい．