ダイアモンド博物館（16）ダイアモンドと半導体

摘要

近代工業材料としてのダイアモンドは往々にしてその応用された分野の死命を制していると言っても過言ではない．半導体産業がその好例と言える．今や総ての産業を支え，携帯電話，パソコン，ディジタル·カメラからテレビ受像機などの日常生活品にまで組み込まれている無数の半導体素子はその誕生から，実際に使用されている時点まで，ダイアモンドの世話になっていることを以下に見て頂こう．半導体素子は最初ゲルマニウムで作られ米国のG．E．社が1952年に人工ダイアモンドの合成に成功した頃から素材はシリコンに移り変わっていったが，製品は高価であった（1個のダイオードが千円もした）．その価格が10年ほどの間に2桁も下がったのは，単結晶製造から集積回路素子の精密·大量の生産に至るまでの技術の進歩によることも，ダイアモンドと関連して見てとれるであろう．一方半導体産業を支えて采たダイアモンド自体が新しい型の半導体として期待されつつあることも紹介しなければならない．