腐食の原子レベルin situ 観察

摘要

「鉄が濡れるとどうなるか？ 」と問われれば誰もが「腐食が始まり，さびが形成される」と答えるであろう．鉄の腐食という日常普通に目にする現象も，液体／金属界面の反応という観点から捉えると非常に興味深いものである1）．しかし意外に知られていないことも多く，最新の先端技術により新たな知見が明らかになり新規の材料研究へと展開される事例は現在でも数知れない．そのためのアプローチ法として，原子レベルから腐食の素反応をin situ （その場）観察することは非常に重要である．本稿では，その取り組みの例として筆者らが取り組んでいる研究を中心に紹介する．