高Ni合金連続鋳造スラブ切断装置の改善

摘要

溶断の難しい高Ni合金の連続鋳造中スラブ切断技術を開発することを目的として，スラブ切断性の調査を行い，高速切断のための設備改善を行った。以下にその結果をまとめる。 （1）高Ni合金スラブの切断ノロを調査した結果，切断ノ口中には多量のNiOが渥存していた。 このことから，難切断性の原因には，Niが貴な金属であり燃焼しにくいことに加えて，スラブ切断時に形成する切断ノロの流動性が悪いことが考えられた。 （2）高速切断のため，切断装置の吹管について，燃焼ガスおよびパウダーの供給能力を増強した。 吹管変更に際し，火口改造，パウダー供給ノズルの増設，ディスペンサー改造を行った。 さらに，パウダー中Al含有量を適正化した。 これらの改善により，切断が困難であった高Ni合金スラブが連続鋳造中に切断可能となり，切断時間は従来の約半分に短縮された。 本研究を遂行するにあたり，設備改善に多大なるご協力をいただきました，日酸TANAKA（株）鈴置宗朗氏，ならびに，日本スピング（株）大浦省司氏に，厚く御礼申し上げます。