冶金用コークスの破壊強度--材料力学的評価

摘要

材料力学·破壊力学の視点から冶金用コークスの強度を論じた。 コークス特有の複雑な微構造を階層構造として捉え，巨視から微視に至る階層構造を表現し得る新規なスケーリング則を提案した。 実用指数であるドラムインデックス（DI）との関連で各階層構造の強度を破壊力学的に論じ、ミリ構造（メソ構造；約5mmから約30mmの寸法を有するコークス粒）の強度を定量評価することの重要性を明らかにした。各種粘結炭および非徴粘結炭由来コークスを試料とし，そのミリ構造に着目した圧子力学試験および圧壊試験を行い，各種力学物性（弾性率,降伏強度，圧人仕事）の定量と圧壊強度のワイプル統計解析を行った。 ミリ構造コークス基質部の力学物性には粘結炭と非微粘結炭との間で有意差を認めることが出来なかった。 しかし圧壊強度およびそのワイブル統計処理から得られた結果とDI値との間に極めて強い定量的相関が認められた。 この結果を基に，コークス強度を材料力学的に評価できる新規な強度指数として，「圧壊強度指数，∑」を提案した。 本研究は劣質炭対応型コークス化技術研究会（平成14年～16年）（日本鉄鋼協会；三浦孝一教授（主査，京大））における研究成果をまとめたものである。