板圧延における圧延方向に平行な表面庇の変形過程の解析

摘要

圧延板に生じる疲の変形挙動を解析できる数値解析システムの開発を目的として，板表面に圧延方向に平行に痕が存在する場合，ならびにシーム痕を対象として,庇や欠陥の変形を一般化平面ひずみ剛塑性有限要素法を胃いて理論解析を行った。 その結果，以下のことが分かった。 （り　 蘭発したシステムにより，圧延方向に平行方向に存在する微小な癖や欠陥の，圧延による変形を詳綿に求めることが可能である。 （2）V字痕の変形について，（a）初期庇開口部幅が小さいほど，癖は圧延初期の段階で閉じる，（b）板端に近づくにつれ，漉は開きやすくなる。 また舵形状による影響の差が大きくなる。 （c）摩控が小さいきいほど疫は開きやすい。 （3）矩形状痕の変形について。（a）初期痕開口部幅が小さい場合，板幅中央付近では痕底面が材料内に残存して、「逆Y字型」の痕となる。 板端に近付くにつれ舵は外側に傾き，「L字型」に近くなる。 （b）初期庇開口部幅が広い場合，板幅中央付近では舵底面が露出してロールと接触し．「ハの字型」の癖となる。 また板端に近付くにつれ内側の痕が小さくなる。（c）板端に近いほど，舵は開きやすい。 （4）人工の初期痕を用いたシーム痕の再現実験を行い，板側面の痕の上面への回り込みは板側面のパルジ形状に大きく影響され，lパス目の庄下率が小さくダブルパルジ形状になる場合はその後の圧延でも回り込みが生じないが，1パス目の庄下率が大きくシングルパルジ形状になる場合はその後の庄延で回り込みが生じること￣が分かった。 （5）一般化平面ひずみFEM解析により，シーム痕の回り込み現象などをシミュレートできることを確認した。 　 最後に本論文は日本鉄鋼協会「表面庇発生過程予測技術の開発」研究会の成果の一部をまとめたものであることを付記し，関係者に謝意を表する。