管状炉·燃焼赤外線吸収装置を用いた微少量鉄鋼試料中の微量炭素及び硫黄の定量

摘要

管状炉式の燃焼赤外線吸収法を用いた装置を使用して鉄鋼中の炭素及び硫黄を定量する際，使用する助燃剤や校正試料の違いにより分析結果に変動が生じる。本報では，微少量試料を使わざるを得ない制限や繰り返し分析が不可能な条件下で正確に精度良く分析を行うことが要求されているとき，試料重量が0.05～0.5gの少量を採取し，炭素及び硫黄を定量する方法の妥当性についての検討を行った。 また，一種類の校正試料で全ての濃度範囲をカバーできる方法を開発するため，一種類の校正試料で0.5g以下の微少量試料（認証鉄鋼標準物質）での補正曲線から測定値を算出する方法を開発した。 炭素濃度を定量する際はFig.1(a)を，硫黄濃度を定量する際はFig.2(b)の補正曲線を利用することにより，精確な値を算出することができた。 0.001％(10ppm)レベル以下の極低炭素濃度の定量を行う場合には，予め炭素濃度の低い標準鉄鋼試料により校正を行ってから分析を行うと真値に近い値が得られた。 硫黄濃度の定量を行う場合は，助燃剤にスズにタングステンを添加したものを使用すると，精確に定量を行うことができた。 しかし，炭素のみの定量を目的とする際には，タングステンの表面汚染の影響があるため，助燃剤にはスズのみを使用した方が精確な炭素濃度を定量することができた。