クランクスローの自動超音波探傷装置

摘要

船舶エンジンに用いられるクランク軸は，長期間の繰り返し荷重に耐える必要があるため，表面および内部の品質は厳しく管理される必要がある。 組立型クランク軸は，複数のジャーナル部とスローと呼ばれる偏心部を焼きばめて造られる（Fig．1参照）。 このうちスローは，高生産性の観点から鋳造法で造られる場合があり，独自の製造技術で品質レベルアップを実施しているが，重要部位の内部品質を保証する安定した検査が求められる。このニーズに対応するため，従来手動による超音波探傷を行っていたのに対し，スロー自動超音波探傷装置を開発し，小型から大型にわたる全機種に適用可能とした。 スローはピンと呼ばれる円柱とその周囲のフィレット部およびそれを挟み込む2つのアーム部から構成され，その独自の形状のため，応力がピンの内股の狭陰部に集中する。 従って，ピン周辺は詳細な探傷が必要であるが，手探傷し、た場合，長時間を要するとともにフィレットなどの3次元曲面部位では安定探傷には熟練者が必要である。 今回開発した自動探傷装置の適用により，重要部位を安定かつ短時間に探傷することが可能となった。