オーステナイトステンレス鋼中のクリープキャビティ表面へのSの偏析およびBN析出とクリープ破断性質への影響

摘要

火力発電プラントなどの高温機器に使用されているオーステナイトステンレス鋼の実用的な温度および応力条件下の長時間側で生じる破壊は，粒界の炭化物あるいはδ相と母相との界面に発生したクリープキャビティの成長による低延性の粒界破壊である。このクリープキャビティの生成速度は，同一鋼種においてもヒート間により異なり，早期にクリープキャビティ生成するヒートはクリープ破断寿命が短く，延性も小さいが，生成速度の遅いヒートは寿命も長く，延性も大きい。 本研究では，クリープキャビティ表面への不純物，とくに最も表面活性なSの偏析を確認し，次にこのSを除いて，BNを析出することを目的として，B，N，Ce，およびTiを添加した改良型304ステンレス鋼を溶製し，クリープキャビティの生成挙動，クリープキャビティ表面へのSの偏析およびBNの析出，さらにクリープキャビティ表面への偏析·析出現象とクリープ破断性質との関連について調べた。