生物学的廃水処理とトラブルシューティング

摘要

現在においても，有機性廃水処理は，活性汚泥処理をはじめとする好気性処理が多く用いられている。ところが，この生物分解可能な有機物質（BOD）の処理において，有機物質が，満足には常時処理できてない活惟汚泥設備が意外と多くあるというのが事実である。また，省エネルギー化により，曝気による電気エネルギーの節電のため，嫌気性処理による廃水処理設備も多く普及してきているが，低濃度廃水への対応，負荷変動の大きな廃水への対応，微生物の保持等課題も抱えている。さらに，消費者の多種多様なニーズに合わせた工場での生産対応による廃水量，廃水中に含まれる物質と濃度が変化するため，廃水処理がますます難しくなってきている。特に，小規模工場では，敷地の関係で廃水設備を大きくすることも難しく，対応に苦慮しているところも多い。これら処理設備の要は，顕微鏡でしか見ることが困難な“微生物，微生物菌叢”の機能に集約できる。以下，微生物，微生物叢に着眼した生物学的廃水処理について解説する。