これだけは知っておきたいメンテナンスの基礎知識：化学プラント保安への失敗知識の活用

摘要

化学物質は，これまでエネルギー，材料，ファインケミカル等としてわれわれの衣食住や，文化，レジャー，スポーツ等，豊かな生活のために重要な役割を果たしてきた。 しかし一方で化学物質には，発火·爆発危険，有害危険あるいは環境汚染の潜在危険を有するものもあり，その取り扱いを誤ると，爆発·火災，健康被害あるいは環境汚染等の社会的問題を引き起こす。 21世紀における化学関運産業はますます高度化，多様化，複雑化，国際化していくことが予想され，化学物質およびその取り扱いにおける潜在的危険はぃつそう増大するものと思われる。 一方，21世紀における化学物質を取り扱う産業活動は，生産性，経済性や品質のみならず人間·社会·環境との調和が重要とされており，化学物質は，その製造から輸送，貯蔵，使用，廃棄に至る全ライフサイクルにおいて，発火·爆発危険，有害危険および環境汚染の視点から総合安全管理を推進する必要がある。 そのためには，化学物質を取り扱う化学プロセスにおけるヒヤリハット事例や事故事例を収集·解析し，そこから事故発生過程や事故の原因，背後要因を体系化し，知識化することにより化学物質をこ起因する災害発生の防止に有効に活用することもまた重要である。