最新の廃棄物処理技術：半導体光触媒による環境浄化技術

摘要

光触媒という言葉が最近，マスコミにも取り上げられるようになってきた。 また，読者の中には光触媒を応用した商品を見た方もおられるであろう。 筆者は約20年前から光触媒の研究に携わることになったが，当初は今日のように実用化されるとは思ってもいなかった。 光触媒は純粋な国産技術であり，これが全世界的に注目されるようになったことはまことに喜ばしいことである。 さて，光触媒とは「光で働く触媒」のことであり，従来の触媒が熱エネルギーによって機能するのに対し，光エネルギーによって機能する触媒である。 光触媒になりうるものには主に有機金属錯体と半導体がある。もっとも身近にみられる光触媒の例は，植物の光合成で重要な働きをしている葉緑素（クロロフィル）であり，有機金属錯体光触媒に分類される。 現在，商業用に用いられている光触媒はほとんど二酸化チタン(TiO{sub}2)であり，半導体光触媒といわれるものである。半導体光触媒の一般的機能としては，脱臭，抗菌·殺菌，防汚，有害物質の除去，ガラス·鏡の曇り防止などがある。これらの機能を応用して商品化された製品のいくつかを写真1に示した。 TiO{sub}2がこのような機能を持つのは，その光酸化力と光による超親水性化のためである。それではこれらの機能がどのように発現するのかを見てみよう。