ゼロエミッション電力システムのコスト

摘要

温暖化への対応，中でもCO_2のゼロエミッションは人類の今世紀の大きな課題である。そしてその対策の中心になるのが電力のゼロエミッションである。というのも，日本のCO_2排出を調べてみると，ほぼ半分が火力発電での化石燃料燃焼からの排出である。更に，現在の非電力需要を調べてみると，大半の分野で脱炭素の方策として一番有力なのは電力化で，エネルギーの中の電力比率は今後更に増す可能性が高いからだ。この場合基本となる対応策は一次エネルギーの主役を非炭素の原子力と再生可能エネルギー（いわゆる再エネ）にすることである。ただ，原子力は日本の場合は福島第一事故のおかげでその導入量には限界がある。また再エネといっても従来の水力，地熱，バイオマスなどを用いた発電は日本ではすでにポテンシャル限界に近く，今後増やすとすれば最近急激に増えている太陽光発電や風力発電（新再エネ）になるが，その性質が前者の従来型再エネとは大きく違う。