フェライト焼結磁石の高性能化

摘要

フェライト磁石は、現代社会で最も多量に使用されている磁石である。 フェライト焼結磁石の世界の生産重量は2001年度で29万tであり、すべての磁石の中で81％の比率である。 フェライトボンド磁石の5万5000tと合わせるとフェライト磁石材料としては、実に96％を占めている。 これは、最も強い磁石だからではない。 ほかの最重石材料に比べてコストパフォーマンスが圧倒的に優れているためである。 さらに、「錆びない、分解しない」といったような化学的な安定性とともに、「高温側で保磁力が増大する、経時変化が小さい」といった磁気的な安定性に優れている点が、実用材として強い支持を得ているためである。 酸化物であるフェライト磁石は材料の磁束密度が本質的に低いため、磁石特性の指標であるBH_(max)は希土類磁石の1／10にすぎない。 しかし、コストメリットを維持しながら、磁気特性やほかの付加価値をさらに高める努力は地道に続けられている。 ここでは、最近の高性能フェライト焼結磁石の開発事例を述べる。