シングルデッキ型浮屋根貯槽模型の地震時スロッシング実験

摘要

2003年十勝沖地震における大型石油貯槽浮屋根の沈没事故を契機として，特定屋外タンク貯蔵所の浮屋根審査基準に係る総務省告示が改正され，長周期地震動の影響を考慮した浮屋根の耐震強度評価が義務づけられるようになった。改正告示では，液面の有限振幅変位やデッキ部の大変形に伴うボンツーンの楕円化変形を考慮することとして，浮屋根強度の照査式が示されているが，それらはあくまでも実用を目的とした簡易評価式であり，その妥当性については今後，液体や浮屋根の非線形性を考慮した解析や実験との比較によって詳細に検証されることが望まれる。本稿では，シングルデッキ型浮屋根を有する円筒貯槽模型の振動台実験を行い，既往の理論的研究の妥当性の検証と2003年十勝沖地震等で多発したシングルデッキ型浮屋根貯槽のスロッシング被害の原因究明に役立てることを目的とする。