リスクベース検査における機器の破損確率データ収集のためのベイズ定理の応用（第一報 ベイズの定理の原理）

摘要

近年，工業分野において，プラント機器の保守管理において，リスクという指標を用いて，システムの安全性とともにコスト低減もあわせて追求する技術の導入が急務となっている。このような背景のもとに，非原子力分野の圧力設備についてリスクベース検査(RBI)の理解を深め，各産業に共通して適用できる基準の作成を目標として，日本高圧力技術協会内にRBM専門研究委員会が平成13年に設置され，筆者が委員長を務めている。この委員会活動を通して，我が国にRBIを導入するにあたって困難が予想されることの一つとして，利用可能な破損確率データベースの整備が挙げられることが明らかとなった。委員会開始時に行った，関連産業へのアンケート調査によっても損傷確率データの不備がRBI導入にあたっての懸念事項であることが示された。