鼎談 産業界主導による国際標準化活動

摘要

私は，行政の仕事の中で最も大事なことは, 広報であると認識しております。 標準化行政においても当然であることは言を待ちません。これは，私の信念であるとも言えます。そこで必要なことは，「なぜ，標準化が必要なのか」について，一般の方々にも理解していただける言葉でいかに語れるかということだと思います。 標準化の便益を理解していただくことで，企業や組織において，人材や資金が投入されることでしょう。 そういう意味で，我々は「標準化の宣伝マン」にならなければならないと感じております。私は，国の予算で行う研究開発等よりもはるかに，標準化について国民の理解をいただくための努力をすることが必要と考えます。そのためには, 行政側が相当かみ砕けるところまで理解しなければなりません。 最近, よく新聞記者さんから, 「国として国際標準化に力を入れるのは何となく理解できるが, その重要性は何なんでしょうか」と聞かれることがあります。 そのときに私が答えている第1の視点は，ものづくりを中心とした，我が国の産業経済の活力を維持していくためには，何をなすべきかということです。 その一つがそれぞれの生産活動における付加価値の向上です。 大きな意味での知的財産（知財）政策，知的財産対応が付加価値を高めていくための一つの道だと考えます。 国際標準は知財政策の全くの裏表の関係として，重要性を有しています。