磁気補助材を利用したfar-side漏洩磁束探傷システムの最適化

摘要

石油タンク底板の有効な腐食管理技術として，きず開口の反対側の漏洩磁界を測定するfar-side漏洩磁束探傷法を用いることが現在検討されている。 Far-Side漏洩磁束探傷法は強磁性材料の検査対食物を磁化し，その裏面側に開口したきずによる漏洩磁界を内面側空間へ発生させる。 その漏洩磁界の分布と強度を磁気センサによって定量的に調べ，裏面きずサイズと残存肉厚量を評価するNDT技術である。 本手法を実タンク底板に適用する場合，実タンク底板は測定条件が過酷なため，測定信号のS/N比が低下し，きず検出精度が低くなることが予想される。そこで，著者らにより既に提案されている"磁気補助材"を利用した物理的な測定信号の増幅方法を検討した。 本研究では，まず磁気補助材を用いた場合のfar-side漏洩磁界を有限要素法により解析し，磁気補助材によるきず信号の増幅効果を調べた。 次に，磁気補助材の幅，厚さ，設置位置等の各パラメータの変化による磁気補助材のきず信号増幅効果について検討した。 さらに，この解析結果を基に磁気補助材を組み込んだ探傷システムを実際に試作し，解析結果と実験結果の検証を行った。