フランジ継手付け指針の開発

摘要

本研究の目的は，多数本ボルト締結体であるフランジ継手に対してボルト軸力の均一化および作業性を両立させた実用的な締付け手順を開発することである。 有限要素解析による体系的なボルト締付けシミュレーション，及び検証のためのフランジ継手の締付け試験を実施し，HPIS指針とASME PCC-1指針を比較検討した。 以下に本研究で得られた結果を示す。 （1）フランジ継手締付け指針として，作業性を向上させるため，本締付けにおけるボルト締付け順序に全て時計回りを採用し，締付けトルク増分ステップを簡略化し，締付け周回数に上限を設けた締付け手順をHPIS指針として提案した。 (2)有限要素解析によるボルト締付けシミュレーションを体系的に行い，時計回り締付けを主体としたHPIS指針の手順により均一なボルト軸力およびガスケット応力が得られることを確認した。 (3)有限要素解析を用いて締付け周回数に対する目標締付け力の達成率を体系的に求め，達成率85％を基準に締付け周回数に上限を設けた。 同時に,目標締付けトルクの10％増加により締付け力を補償することとした。 (4)呼び径4インチおよび20インチのJPI規格フランジの締付け試験を実施した。 HPIS指針による締付け周回数は，ASME PCC－1手順の場合との比較で，数周回以上の削減がなされた。 HPIS指針の作業性における優位性が実証された。 (5)HPIS指針の締付け試験結果をASME PCC－1手順の場合と比較すると，ガスケット種類，フランジ呼び径によらず，ボルト軸力及びフランジ変位に関して同等もしくはそれ以上の均一性が得られた。 総合的に考えて，HPIS指針が実用に際して有用であることが示された。