受賞に寄せて

摘要

この度第1回新金属協会「協会事業功労賞」の表彰の栄に浴し大変光栄に存じております。数多候補の方々がおられた筈なのに小生を選んで頂きました選定委員の方々にも感謝申し上げます。 振り返りますと，弊社が新金属協会のシリコン部会のメンバーに選ばれた時の方が，もっと厳しかったのじゃないかと言う記憶があります。 というのは，弊社，ワッカー·ケミカルズ·イーストアジア社がメンバーになれたのは1988年だったのですが，弊社設立が1983年で設立当初から部会メンバ一の方々に入会希望をお願いしていたの資すが,生産拠点が日本国内にないと言う理由でメンバ一会社さん全員の賛同が得られず（全員賛成が許可条件），約5年間見送られておりました。 1987年に弊社が横浜技術センター（一部ウェハー加工も可能）設立を機に入会がやっと認められたと言う経緯があったからです。 外国系企業としては日本モンサント（現エム·イ一·エム·シー（株））に次いで2番目でした。 ここで少しワッカー社の日本法人会社,ワツカー·ケミカルズ·イーストアジア社が設立された前後の状況について触れさせて頂きますと，ドイツ·ワッカー社の半導体用シリコン製品が日本に紹介されたのは古く，1970年代の半ばで日商セミコンダクター社が日本のエ」ジュントでした。 その後色々な経緯を経て1978年の8月よりヘキスト·ジヤパン社がエージェントとなり，当時同社社員であった小生が担当を命ぜられ，その後約20有余年定年まで半導体用シリコン材料業界に身を置くこととなりました。 ご存知の如くシリコン製品についてワッカー社は当業界の世界的なパイオニア」の一人で，1950年代の終りに生産·上市し，原料である多結晶シリコン（FZ·CZ）単結晶（FZ·CZ）及びDW を除く全てのウエハー類迄一貫して製造·販売している企業で,日本市場に上市当初はウエハーの販売だけをやろうとした様です（当時のワッカー社トップのポリシー）が結果的には成功しませんでした。 理由は単純で市場ニーズ，特に技術的要求を無視して，これ迄アメリカ市場で成功した手法をそのまま日本で押しつけたからで，各種ウエハーの価格表を作成，スペック·数量による価格差をそのまま表示,紹介したのです，技術的なポイントを除いてユーザーさんからの悪評はなかった様ですが,日本国内のシリコンメーカーからは相当な反発がありました（提示価格に非常に安いものがあった？）,その上に当時の日本市場の閉鎖性ももっと強かった，小生も直接経験しましたが，或るユーザーに売り込みに行った時「我が社は国産品した買わないことになっている」とはっきり断られた事もあります。 一これは全くの私見ですが，先程の価格表なんかは案外良いアイデアで現在の価格の戦国時代の時にもう少し工夫すれば良い意味で使えるのじゃないかと思ったりしています－その後ワッか一社のトップも変更になり,小生が参画した頃より同業メーカーに多結晶·単結も紹介しようという事になり，国内のシリコンウエハーメーカーに多結晶·単結晶を売る事になりました。小生が主に担当することとなりシリコンメーカー各社のトップの方々にお近づきが出来るきっかけともなりました。