熱可塑性CFRPの繊維方向圧縮破壊メカニズムに関する一考察

摘要

熱可塑性樹脂をマトリックスとする炭素繊維強化複合材料（熟可塑性CFRP）は，炭素繊維の繊維方向の強度·弾性率が非常に高いという特徴を持つだけでなく，熱可塑性樹脂の特性を活かした基材製造技術と成形技術の発展に伴う優れた加工性，さらには，損傷エネルギーが高いことによる優れた耐衝撃性のため，軽量かつ高い生産性と信頼性が要求される構造部材にもその適用範囲が広がっている.特に，ポリプロピレン（PP）やポリアミド（PA）を母材とする熟可塑性CFRPは，プレス成形技術の高度化によって複雑な形状を有する部材を高速に製造することができるため，量産型の構造部材用軽量材料として有望視されており，生産性の向上が要求される自動車製造部門で注目を浴びている.